福本伸行の漫画「最強伝説黒沢」は孤独な人生を送っている男は読んでいけない
現在ダイエット中で、幽遊白書の主人公である浦飯幽助の親父「雷禅」ばりに飢餓状態になって、発狂しているまこちゃんです(笑)
つい先日ある漫画を読んで号泣してしまいました。
その漫画とは、福本伸行先生の漫画「最強伝説黒沢」です。
福本伸行先生と言えばみなさんは、「カイジ」「アカギ」などの漫画の作者として聞いたことがあるのではないでしょうか?
このブログでも以前、アカギの名言を取り上げた記事を書きました。
今日はそんな福本先生の漫画の中でもカイジ、アカギとは毛並みの違う漫画「最強伝説黒沢」について書いていこうと思います。
最強伝説黒沢が、カイジやアカギなどの他の福本漫画と違うのは、中年男のリアルな悩み・葛藤を描いているという点です。
「命がけのギャンブル」という福本漫画の代名詞もこの漫画には全くありません。
コメディ・お笑いテイストの強い漫画であり、「人生」というものを真剣に考えさせられる内容になっています。
福本伸行の漫画「最強伝説黒沢」とは
主人公「黒沢」は、サッカーのワールドカップ(2002日韓大会)を見て、虚しさと選手を応援する感動が偽りだと気付く。
自分の人生が余りにも満ち足りていないという事実に気付き、焦りを覚え始めていた。
44歳の誕生日、その日を誰にも祝って貰えなかった黒沢は「人望が欲しい」という欲求を抱き、これを機に人生を変えようと奮闘する。
中学生ヤンキーとの決闘、黒沢狩り、ホームレスとの共闘など次から次へと新たな騒動が舞い込み、図らずも黒沢は様々な修羅場を潜り抜けてゆくこととなる。
福本伸行の漫画「最強伝説黒沢」は孤独な人生を送っている男は読んでいけない
この漫画「最強伝説黒沢」を読む上で注意点があります。
それは、記事のタイトルにもした通り、最強伝説黒沢は「孤独な人生を送っている男」は読んでいけません。
なぜならこの漫画には
孤独な人生と哀愁が詰まり過ぎてるからです
おそらく、この漫画を20代の希望が残された人が読んでも、ただのギャグ・コメディ漫画としてしか理解できません。
そのくらいの若さと希望がある人間には、まだ、この黒沢の人生が想像できないものだからです。
しかし、私のように30歳以上で独身、収入も少なく、恋人もいなく、結婚にも程遠く、明るい未来も何もないと感じている人間には本当にこの漫画は効きます(笑)
この黒沢の日常が「リアル」そのものだからです。
この最強伝説黒沢の第1話でいきなりこんな名言が飛び出します。
俺は親でもなければ 父でもない・・・
つまり・・・「親父」じゃない・・・
ただ、齢(よわい)を重ねただけの男・・・
齢男(としお)だ・・・
この場面は、44歳の誕生日に誰にも祝われることなく、一人で居酒屋で晩飯を食べる、主人公黒沢が心の中で呟いた言葉です。
私は読み始めのこの言葉にいきなり心を一突きされました。
「黒沢は自分だ。14年後の自分だ。」
そんなことを思うと本当に泣きそうになりました。
覚悟のある方のみ、「最強伝説黒沢」はお読みください。
福本伸行の漫画「最強伝説黒沢」の名言
福本伸行の漫画「最強伝説黒沢」《 2巻 第11話「不言」での名言 》
俺たちは軽んじられ…
見下されて…あしらわれ…そして酷使され…
しかし一切そのことに文句は言わず…
ただ愚直にやりおおす…!
与えられた仕事を!
その仕事は日の当たらない、できて当たり前の単純作業…!
注目や喝采なんか…無縁!創造性もゼロ…!
誰がやってもまあ同じ…そんな名前のない仕事…!
たいした仕事じゃない…!
しかし…やりおおすっ…!やめないんだっ…!
この名言は、黒沢が交通誘導のロボット(黒沢が「太郎」と名づけた唯一の友達)を、車にぶつけられボロボロになって動いているのを、通りがかりの人々が笑うところで黒沢が言った(心の中で)名言です。
黒沢はそんな「太郎」に抱きつき号泣、それを見た周りの同僚たちも一緒に号泣するシーンです。
自分も読んでいて涙がこぼれてきました。
福本伸行の漫画「最強伝説黒沢」《 9巻 第67話「安息」での名言 》
人生を1日に例えた話。
仮に人間の一生を72年としたとき、その72を1日24時間で割っていくと
1時間が3年という計算。
18歳の奴なら朝6時。まだ学校も始まってねぇ。取り返せる。
30歳の奴でもまた午前10時。日は高い。午後もたっぷり。取り返せる。
俺は気が付けば45歳。ということは午後3時。就業じゃん!あと2時間で!
取り返せない。オレはオレの人生を取り返せない。
(※一部省略)
とある事件を乗り越え、平穏な日々を取り戻した黒沢が、同僚と酒を飲んで盛り上がっていた。
その帰り道に、その状況を「幸せ」「幸福」だと思い込もうとしたが
「嘘っ・・!・・・本当は違う・・・!言い聞かせているだけ・・・!」
と途方にくれている中で、最後に寄った居酒屋でとなりの客に言った名言です。
これも心にガツンとくる言葉です。私は30歳なのですが、それでもこの言葉はやはり重いですね。ほとんどの人間が生きていく中でこの思いを抱くことになるんじゃないですかね。
福本伸行の漫画「最強伝説黒沢」《 10巻 第79話「物語」での名言 》
今ここで・・・災いを避けて・・・争いを逃げて新生活。
暮らしを始めたとしても・・死ぬぞ。
その死に際思うだろ。
結局、「オレは何も出来なかった・・・!」と
結局、「オレは女一人救えなかったんだ・・・!」と
望みか?それが?
そんなものがオレたちの一生か?物語か?
オレたちはへたれ、ダメ人間。
たぶんこの先も成功とか栄光とかそんなものは望めねぇ。
そんな俺たちだが、今立てば「男」にはなれるだろうよ
(※一部省略)
とあるホームレスたちの住処が暴走族に襲撃予告を受けました。
このホームレスの住処には歩けなくなった一人のおばあちゃんがいました。
他のホームレスたちが、このおばあちゃんを見捨てて、その地から逃げようとするときに黒沢が言い放った名言です。
この名言は読んでいる途中で涙が止まらなくなりました。
逃げようとしたホームレスたちは自分自身じゃないのか?そんな自分に黒沢が語りかけてくるような感覚になったからです。
福本伸行の漫画「最強伝説黒沢」は孤独な人生を送っている男もやっぱり読もう
この「最強伝説黒沢」は「夢」や「希望」といったことには程遠い漫画です。
読んでいてワクワク・ドキドキすることはありません(笑)
でも、だからこそ「リアル」なんです。
「リアル」な、年を重ねた独身男の人生の哀愁・悩み・葛藤・迷いなどが、この漫画には見事に描かれています。
残念ながら、ほとんどの人間がこの黒沢のような人生を歩むことになると思います。(言い過ぎ? 笑)
少なくとも私にとってはこの黒沢の人生は、一番実現可能性の高いリアルな未来です。
でも黒沢曰く、私は30歳なので一生を1日に例えた場合、まだ午前10時なので取り返せます!
黒沢を反面教師にしつつも、見習うところはたくさんあるので、なんとか「幸福」「幸せ」だと思える人生を見つけて、その道を歩んで生きたいと思います。
タイトルなどで「孤独な人生を送っている男は読んでいけない」と言いましたが、やはり撤回します。
名言として4つほどしか紹介できませんでしたが、この「最強伝説黒沢」には名言が詰まっています(いずれこのブログで名言別に記事を書く可能性あります)。
「孤独な人生を送っている男」こそ、この「最強伝説黒沢」に救われる名言や生き方が載っている気がします。
みなさんも黒沢を反面教師にしつつも、見習うところは見習い、自分なりの「幸福」「幸せ」だと思える人生を私と一緒に見つけましょう。